自由人になって幾ばくかの時間が過ぎた。ふり返ると人生における紆余曲折は確かにあった。自分の人生は決して一本道の人生ではなく、いくつかの転換点があったが、福島における経験もひとつの転機であったことは確かであろう。左の写真は2015年11月3日の山木屋。東北地方の原植生である落葉広葉樹がなだらかな丘陵を染める山木屋の秋は美しい。その景観の中に除染物質を格納したフレコンバックが見える。暮らしや生業は戻っていないが、帰還への希望が畑を耕させずにはいられない。中央の写真は2019年10月6日の同じ畑。避難解除から2年半が過ぎているが、フレコンバックはそのままだ。耕し続けた畑にはダリアが咲いている。避難中になくなった土地の主の奥さんの名前に由来する。その向こう側では彼岸花がようやく咲いたところ。双葉町の中間所蔵施設が建設される土地に咲いていた彼岸花が山木屋に移植された。もう双葉に戻る場所はない彼岸花の主にとって変わり続けるこの“世界”とは何なのか。山木屋では2024年に稲の作付けが再開していた。“ひと”とは歴史の中の何なのか。“ひと”、“自然”、“農”とともにある暮らしを何とか維持しながら、考え続けたい。

老人の主張-最近のできごと(2023年4月以降)
現役時代に蓄積したこと、考えたこと、老人として考えていること、少しずつ放出しています。NPO法人水環境研究所「ちば環境学習応援団」に登録しています。内容に興味を持って頂いたら、ご一報ください。話に伺います。

【予定】旭市新川汚染対策推進大会 千葉県東総文化会館小ホール 2024年11月22日

村尾技建イブニングセミナー M-JUKU 2024年7月17,24,31日

「ダイナミック地形学試論-下総台地の水文地形-」、NPO法人日本地質汚染審査機構イブニングセミナー 2024年7月5日

「初級技術者のための地下水講座-地下水概説-1.地下水の理論と実際」、一般社団法人地下水技術協会 一般社団法人日本さく井協会基礎知識講習会 2024年6月28日

「人・自然・社会の関係を整える-職業科学と市民化学-」 NPO法人環境カウンセラー千葉県協議会 2024年5月25日

「千葉県における災害-地理学の観点から-」令和5年度千葉県公衆衛生学会 2024年1月31日

「印旛沼を育む台地の成り立ちの恵み(1)下総台地の12万年の変遷」印旛沼環境基金 2023年12月2日

「もと理系の視点から見る地球温暖化問題とひとの対応」、千葉大学公正型社会研究主催 第2回国際温暖化対策研究会 2023年7月3日

「初級技術者のための地下水講座-地下水概説-1.地下水の理論と実際」、一般社団法人地下水技術協会 一般社団法人日本さく井協会基礎知識講習会 2023年6月30日

「地域で安心して暮らすための災害の知識」、日本老年看護学会第28回学術集会(オンデマンド講演)、2023年6月16-18日


隠者の随想録
隠者文学の代表とされる“方丈記”で有名な鴨長明ですが、なんだか自分に似ているような気がします。私も人生終盤は隠者として暮らしたいと思っていますが、隠者はけっして隠遁者ではなく、この世の有り様を外側から観察し、あれこれ評論するひとではないか。あれこれ言いつつ実践することはないのですが、自分は少しは現場で実践をやってみたいと思うのです。だから、鴨長明とはちょっと違う“ニュー隠者”になると、最終講義ではほざいてしまいました。実行せねばなりません。

隠者のつぶやき
「口は災いの門」は近藤のガス抜きの場でしたが、暮らしの必需品だったようで復活させることにしました。定年後はあまりガスを抜く必要もなくなりましたが、弱音を吐いたり、備忘録をつけたり、老人固有の思い込みをつぶやく場としてストレス解消に役立てたいと思います。

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