担当:近藤昭彦
課題
この講義では水循環の素過程(降水、蒸発散、河川、土壌水、地下水、...)と、人間による水循環への介入、自然の機能について話をしてきました。
①まず流域を想定し、流域における多様な水循環素過程の繋がりとして記述してください。すなわち、流域の降水が最終的に流域の出口に河川水となって到達する過程を記述してください(その経路は決して一本道ではありません)。水循環のあり方は流域の地理的特性によって異なるので、たとえば山地流域、都市流域、あるいは大流域、小流域、といった流域の特徴と空間スケールを考えながら、実流域だけではなく仮想流域でも結構ですので、流域を想定して水循環の過程を考えてください。
②そこに人間の作用が加わると、流域の水循環はどのように変わるでしょうか。その時の水循環と人間の関係性はどうなっているか。人間あるいは自然にとっての不利益は起きるのか。これも重要な観点です。もし不利益が起こるとしたら、人と自然の関係性が悪くなっているとしたら、どうしたら良いでしょうか。流域全体で取り組むべきことには何があるでしょうか。これは“流域治水”の拡張された新しい考え方になるかも知れません。あなたの考えるシナリオを記述してください。
提出は7月25日に予定している補講日に直接提出か、24~25日(講義開始前が締め切り)に修学支援室(講師室)でも受け付けます。分量はA4用紙2枚とします。必ず名前を記入してください。
いろいろなことを話しました。スライドの最後まで到達できませんでしたが、まずは一通り読んで、わからないことがあったら質問をください。
外のペデストリアンに出て、日の光を浴びてください。暖かいでしょう。そもまま水辺の橋をわたり、草原に移動しましょう。気温は変わりましたか。わからなかったらしゃがんでみましょう。 少し涼しく感じると思います。それは、地表面に到達した太陽の光が空気、地面、蒸発に使われる割合が変わるからです。これを熱収支といいます。
いろいろな地表面の熱収支の違いがその場所の気候を創り出します。場所が集まって地域ができ、地域が集まって世界ができます。世界の気候もひとが暮らす様々な場所の熱収支の集まりで形成されます。身近な場所の理解から世界が見えます。
あまりにも身近で、気にしたことはなかったかも知れません。土壌の中の水の動きは実は不思議。特に毛管水帯の性質は勉強しておくと役に立ちます。古墳の中の遺物はなぜ千年以上も保たれたのか。雨の後、地下水面が上がっても、それは降雨前からそこにあった水です。水分子の実質的な動きと、見かけの動きは大分異なります。少し難しいかも知れませんが、その時は質問してください。
地面に穴を掘り、たくさんの穴を空けた箱を埋めます。おっと、雨が降ってきました。雨水が浸透していきます。さて、箱の中に水は溜まるでしょうか。
地下水に対するイメージをバージョンアップできたでしょうか。目に見えない水であるがゆえに、その価値を保つ営みを疎かにしてしまった水といえるのではないでしょうか。地下水循環の性質を知り、保全しながら恵みを最大限に受け取れる社会を築きたいと思います。
突然の休講でご迷惑をおかけいたしました。突然発熱しましたが、抗原検査もPCRも全て陰性。抗生剤を服用して回復しました。COVID-19ではありませんでしたが、コロナ禍のなかで発熱した人の気持ちがよくわかりました。後で補講を計画したいと思います。この話題は自習をお願いします。
川との関係性を保つこと、それがこれからの時代の暮らしにとって大切なことだと思います。これからの時代とは高度成長から低成長、そして成熟に向かう時代です。力尽くで川を支配することはこれからの時代のやり方ではないと思います。川との関係性を保ち、共に生きる暮らしをめざす時代がやってきたと思います。
流域治水に関する情報
今日の話題は今まで意識したことのなかった現象なのではないかな、と思います。山腹斜面に雨が降ったとき、その水はどのような過程を経て川の水になるのか。実は多様な現象が起きています。そのことは物質(例えば、投棄された汚染物質)の移動を考えるときに決定的に重要な認識になります。また、雨が降ると川の流量は増えます。増えた水はその時に降った雨水なのでしょうか。自然流域では流量が増加した分はほとんど降雨前から流域のなかにあった地中水なのです。もちろん、都市化された流域では雨水が直ちに流出してきます。これらのことを知り、川との会話を楽しんでください。
森林には歴史がある。人間との関わりのなかで現在の森林のぞんざいができあがってきた。歴史を知ることにより、未来における人と森林の関係性について考えてください。そのとき、森林の機能に関する科学的な成果を知った上で、人と森林の関係がよりよくなるにはどうしたら良いのか、考え続けましょう。
【第9話】水にラベルをつける-同位体水文学-(6月27日、7月4日)
水分子を構成する1Hと16Oには2H、3Hおよび18Oという同位体が存在し、水分子を構成しますが、それは水にラベルをつけることになります。同位体の存在比は気温や降水量といった気象要素によって変わるとともに、もとは降水である地下水は涵養時における気候を反映しています。それは地質時代に遡ることもできます。さて、水の同位体組成を調べると何がわかるのでしょうか。
水循環に関する素過程を学んだ後は、世界の様々な地域の特徴について学んでください。物理は自然現象を理解するために必要ですが、物理だけでは現場の水文現象を理解することはできません。地域の地理的特徴を知る必要があります。
湿潤地域について学んだ後は、乾燥地域の特徴と水循環について学びましょう。湿潤地域と乾燥地域の特徴が理解できたら、世界各地の水循環について調べてみましょう。
【補講】地域で安心して暮らすための災害の知識(7月25日、オンデマンド)
今期は発熱とコロナで2回休講にしてしまいました。補講は7月25日に対面1回とオンデマンド1回で行います。補講は災害をテーマにします。当初の予定の「災害と水循環」に対応します。今回は水害について話します。講義資料と下記のページを参考にしてください。
これは2022年度まで開講していた「災害地理学」のページです。自然災害に関して事例を通して学びます。講義資料を読み込んでください。最近、災害がたくさん発生しています。減災、防災を達成するには自らハザード(災害を起こす可能性のある自然現象)について学ぶ必要があります.わからない点は近藤まで質問してください。
近藤の連絡先は kondoh@faculty.chiba-u.jp(半角にしてください)