三江平原はどのようなところなのでしょうか。左の画像はNDVIと呼ばれる植生指標の画像で、明るいほど植生が活発、量が多いことを表しています。右の画像はTMのチャンネル5(短波長赤外)の画像で画像の濃淡は地表面の乾湿におおむね対応しています。画像中央やや上にスプーン状の暗色部がありますが、これは湿地の範囲を表しています。湿地の中でも植生が繁茂している部分は左の植生指標の画像では明るく写っています。
アルゴスシステムで得られたつるの位置情報をGISを用いて画像上にプロットしました。この画像で、緑のドットは雌の親鳥です。また、黄色と空色は前の年に鹿児島県、出水平野で生まれた子供です。親鳥は湿地中に居り、行動範囲も子供に比べて広くないことがわかります。これは親鳥が営巣活動に入ったことを意味しています。一方、子供は湿地の周辺を飛び回って給餌活動を行っています。
湿地の周辺をよく見ると矩形のパターンが見られますが、これはその場所が農地として開拓されていることを表しています。今、三江平原では食料生産のため湿地の乾燥化、農地化が進められていますが、人間の生活を守ろうとするとつるの生活・繁殖の場を奪うことになってしまいます。
引用文献
Kondoh,A., Kanai,Y. and Higuchi,H.(1994): The theory and practice of environmental analysis through LANDSAT images. Proc. Int. Symp. The Future of Cranes and Wetlands, 61-71.
Kanai,Y., Kondoh,A. and Higuchi,H.(1994): Analysis of crane habitat using satellite images. Proc. Int. Symp. The Future of Cranes and Wetlands, 72-85.