近藤研究室2018年度後期配属卒論ガイダンス
3年生の後半から卒論に取りかかる皆さんに近藤研究室が何を大切にしているか、お伝えしたいと思います。様々な研究成果についてはホームページを参照してください。
近藤研が大切と考えていること
環境とは人と自然が相互作用する外界です。この範囲を生活圏(Life Layer)と呼びます(A.Strahler,"Introducing Physical Geography"より)。そこで、生活圏科学(Life Layer Science)という 分野を創りました。生活圏をセンシングする技術がリモートセンシングであり、生活圏リモートセンシング(Life Layer Remote Sensing)と名付けました。
私は、 これまで、“問題の解決を共有”するコミュニティーの中に学生が入り、その場で科学者(の卵)として“役割を果たす”ことで成長すること、を卒論の教育目標にしてきました。ところが、ここ数年ほどは、自分と自分を支えてくれる“周り”との関係性が理解できない学生が現れ始めています。これは問題の当事者との“信頼”を大きく損ねることになります。このことは私自身の課題として、理解と解決をめざし、考え続けているところです。誠実が創り出す信頼は人生の果実です。幸せは自分で掴むことができます。
①世界の様々な地域における環境、人と自然の関係性、に関する研究-地域研究を総合化し、世界を理解する
②環境問題の理解と解決に向けた協働-超学際(Transdicsiplinality)の実現と科学の成果の課題解決への実装
③リモートセンシングとステークホルダー(関与者)の接続-UAVリモートセンシング
④もちろん、その他もあります。
環境を探究するということは、環境を構成する要素間の関係性を探究するということです。地理学は関係性探究型科学であり、系統地理学の包括的な分野の知識、経験に基づいて、環境問題の本質を明らかにしていきます。
地理学は“人と自然の関係学”であり、“環境学”でもあります。幅広い知識と経験を提供してくれる地理学を勉強してください。君たちは社会人になると、究極の決断を迫られる場面に何度も遭遇することになるでしょう。その時、助けになるのは頭の中に蓄積されたデータベースです。自身が諒解できる判断、決断をするために、勉強は怠らないでください。地理学が助けてくれます。
皆さんに検討して頂きたい課題
①の課題
ホームページでは世界、特にアジアを中心とした様々な課題に対応した研究を見つけることができたと思います。地理学の知識とリモートセンシング、地理情報処理技術(GIS)によって解くべき重要な課題にアプローチすることができます。
●協働の輪に入ってもらいたい課題:「北アフリカ乾燥地域における持続可能な地下水利用システムの構築」ナイル下流域の地下のヌビア砂岩は地域の貴重な水資源となっていますが、化石地下水の利用は持続可能ではありません。どのようなオアシスの暮らしを提案できるか、文理融合グループの仲間に入りませんか。
②の課題
・流域における水・物質循環の健全化を図り、よりよい地域を様々なステークホルダーと協働で実施している「印旛沼流域プロジェクト」に参加しませんか。
・原子力災害による避難指示が解除された福島県川俣町山木屋地区で、地域の人々を含む様々なステークホルダーと協働で未来を創っていく「山木屋復活プロジェクト」の仲間になりませんか。
様々な問題の現場において、科学の成果を解決に活かすためにはどうすれば良いか。未来を語る前に、現実と向き合って一緒に考えたいと思います。
③の課題
・リモートセンシングを身近なものにするために、人工衛星からUAV(Unmanned Aerial Vehicle)まで、マルチレベルのリモートセンシングを使った課題解決型の研究に取り組んでいます。
・特に農業への応用は、千葉県との共同研究「スマート農業プロジェクト」として取り組みを進めている重要課題です。稲、麦や野菜の成長を見守りながら、一緒に成長していきませんか。
その他にも、環境、すなわち人と自然の関係、に関わる様々な課題に取り組む事ができます。重要だな、と直感を持ったら、研究室を訪問してください。
研究室の場所:工学系総合研究棟1-802(南門近く、松韻会館北側)、メールはkondoh@faculty.....