京都大学防災研究所水資源環境研究センター・水資源セミナー 20180423
里山流域における水・物質循環と環境回復への試み

作付が止まって3年が経過し、柳が入り込んだ水田
近藤の話

 今回の話は2015年11月17日に奈良大学で実施した講演の内容に若干の追加を行ったものです。原発事故発生から7年、奈良大講演から3年が経ちますが、基本的な考え方は 変わっていません。当面の課題は放射能に汚染された山村の暮らしを復活させること。この課題は避難指示解除から1年が経った現在、ステージは一段階進みましたが、問題はますます深くなっています。現在、山木屋地区では約30%の住民が戻っているところですが、ようやく問題の解決の入り口に立ったといえるでしょう。
 解決といっても、それは住民の諒解に過ぎません。その諒解の背後に、どのような問題が残されたのか。私たちは意識する必要があります。近代文明のあり方、都市・農村関係のあり方、この国の進むべき道、...。問題解決の道筋は未だ混沌としていますが、確実なことは、これらの問題に対して、日本人が基本的な姿勢を明らかにしなければ、日本の未来はあり得ないのではないか、ということ。成長、発展を犠牲のシステムでしか成し遂げられない国には明るい未来は想定しにくいと思います。