日本学術会議公開シンポジウム
GLP(全球陸域研究計画)の推進と国連持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

主催:日本学術会議環境学委員会・地球惑星科学委員会合同FEWCRP合同分科会
後援:GLP日本拠点オフィス、日本地球惑星科学連合、地理学連携機構

日時:平成29年10月16日(月)13:00~17:30
場所:日本学術会議講堂〒106-8555東京都港区六本木7-22-34

GlobalLandProgramme(GLP:全球陸域研究計画)は、2014年、新しい地球環境研究プラットフォームであるFutureEarthのコアプロジェクトとして再発足しました。GLPはFutureEarthが提起する8つの大きな課題群いずれとも、とりわけ「すべての人に水、エネルギー、食料を」及び「持続可能な農村開発を」と深く関わっています。また国連の持続可能な開発目標(SDGs)のいずれとも、とりわけ「持続可能な都市と地域」及び「陸域の生命」と深く関わっています。本シンポジウムは第23期日本学術会議環境学委員会・地球惑星科学委員会合同IWD合同分科会GLP小委員会のこれまでの研究成果を紹介し、関連する諸領域との連携により、学際的な共同研究プロジェクトの発展に向けて議論します。

プログラム

近藤講演資料

閉鎖性水域の水環境問題
-地域環境問題を地球的課題につなげる考え方-
Future EarthやSDGsに関する議論では、“誰のために、どんな問題を解くのか”という視点が明瞭ではないように思う。“誰”とは(顔の見えない)人々なのか、それともAさん、Bさんといった顔の見える人々なのか。個別の問題に対峙しなければSolution-orientedにはならない。研究者は個別の課題に入り込むことに躊躇しているように見える。個別の課題は事例研究であり、ローカルな研究だからか。ローカルな研究を100集めてもグローバルにはならないのか。そんなことはありません。

私は物理で駆動される実体としてのグローバルというより、 たくさんのローカルが相互作用する入れ物としてのグローバルを考えたい。ローカルをつなぐリンクには、経済リンク、政治リンク、宗教リンク、人種リンク、...たくさんのリンクがある。グローバルの入れ物の中にローカルの事例を位置づけていけば、グローバルの枠組みの中で、一般化できるものも出てくるかもしれないし、“学び”が世界の人々の意識を変えるかもしれない。

何よりも、グローバルのフレームの中に、個別の課題を位置づけていくうちに、課題はより上位の課題へ移行して行くことが大切だと思う。今回は、閉鎖性水域の水環境問題を取り上げたが、世界の様々な事例をグローバルの中に位置づけていけば、課題は、例えば、都市と農村の関係、近代文明のあり方、といった上位の課題と関連してくるのである。