科学と社会の関係を問い直す
日本水文科学会からお誘いを受け、気になっていた表記の課題について思うところを書いてみましたが、ようやく出版されました。すでに自由人となりましたので論文生産が目的ではなく、主張することが隠者の営みです。この課題について対話ができれば良いなと思っています。できれば、一杯やりながら。(2025年11月)
[要旨] 近年の日本における科学と社会の関係は良好とは言えない状況である。それは科学と社会の関係に関する理解が双方において不十分だからではないだろうか。この関係性は時代によっても変わるが,人口減少,低成長時代を迎えた現在はまさに転換点といえる。そこで,時代が求める科学と社会の関係性について私論をまとめた。科学を基礎科学、課題達成型科学、問題解決型科学に分類し、それをれを環境あるいは社会と結びつける四面体を考えた。人口減少、少子高齢化、低成長の時代における環境(ひと、自然、社会の関係するまわり)をよくするための研究として問題解決型科学を重視したい。それは地域において様々なステークホルダーが協働し、全体性の観点から地域を理解し、問題を解決あるいは諒解しようとする科学である。現代は様々な価値観が混在する時代である。混在から相互承認,共存へと進むためには対話が唯一の方法であろう。